神様の愛「キンモクセイ」


 キンモクセイの香りがあちらこちらから漂ってきます。
 花は子孫を残すために、良い香りを放ちます。香りをたよりに、蝶などの虫たちが受粉を助けます。
 プラスとマイナスが引き合うように、植物は雄しべと雌しべが引き合います。
 キンモクセイイチョウと同じで、株が雄と雌に分かれています。香りが良いのは雄の木です。雌の木は花の数も少なく、香りも弱いようです。ですから江戸時代に中国から日本に渡来してきたときに、園芸用に雄の木だけ輸入されました。日本中にあるキンモクセイはすべて挿し木で増やしたそうです。
 ですから、どんなに雄株が花粉を飛ばしても、雌株に届いて受粉されることはありません。それでもキンモクセイは雌株に届くように、これでもか、これでもかと、けなげに花粉を飛ばしているような気がします。
 香りが強い花といえば、ジンチョウゲも雌雄異株で、日本のほとんどの木は雄株です。どうやら、雌株に花粉が届かない花ほど、花粉をたくさん飛ばして香りが強いのではと思ったりします。
 神様は男性であるアダムを創造したあと、
「人がひとりでいるのは良くない」
と言って、女性のイヴを創造しました。
 神様の愛は、父性的なものと母性的なものがひとつに合わさって現れるのだと思います。それは人間だけではなく、植物も動物もみな同じです。
 キンモクセイにも雌の株をそばに植えてあげられたら良いなと思います。