埋もれていた美談が200年以上経って日の目を見る

今週のお題「最近見た映画」
f:id:hiroukamix:20201109130259j:plain 一度書きましたが、映画のお題が出たので、少し書き換えて再度載せたいと思います。「殿、利息でござる!」という映画を見ました。日本映画で久し振りに感動しました。何度も込み上げてくる涙を押さえることができませんでした。事実に基づいて作られていたので、とても心に響きました。
 この映画は、初めと後で多くの登場人物の印象が180度変わっていきました。その場面が出てくる度に、不思議な感動を覚えました。
 ケチで守銭奴と誰からも思われていた人が、実は一番人々を苦労から救う為に、影で精誠を尽くしていました。また情のない人だと思われていた人が、実は皆のことを一所懸命に考えていました。親に捨てられたと信じてずっと親を恨んでいた主人公が、親の本当の気持ちを知って愕然としました。その差が余りにも大きいので驚きました。
 話は、今から240年以上前の江戸時代中期の頃です。仙台藩の吉岡宿で宿場町の窮状を救った町人達の実際に起きた記録でした。陰徳積善という言葉がありますが、まさにそれを実践した素晴らしい行為です。
 磯田道史氏の原作を映画化したものですが、氏の強みは何と言っても、古文書をすらすらと読めることです。外国語の良書を日本語に訳して紹介する人も多いですが、実は古文書で、意義深い内容のものがあちこちの図書館や古い民家に眠っているようです。それを現代語に訳して紹介することは、とても重要な仕事だと思います。
 古文書の訳が、海外の本の翻訳と大きく異なるのは、時代が違うだけで、私たちの住んでいる身近で起こった事実や血の繋がった先祖に関わる話が多いということです。多くの日本人が関心を持つはずです。
 この映画は陰徳を積んだ人々の話なので、実に200年以上も多くの人には知られませんでした。しかし、こうして映画化されたのは、どんな陰徳も天が見ていることを教えています。人間の真価は、人が見ていない所で何をするかに一番現れると思います。
 映画の最後にフィギュアスケート金メダリストの羽生結弦選手がお殿様役で出てきたのは驚きでした。スケートの練習の合間に、よく時間が取れたと感心しました。