数年前に秋の文化祭があり、野外で書道のパフォーマンスを見ました。大きな筆を両手で持ち、10メートル近くある大きな紙に、文字と絵を描いていました。
軽やかなBGMに合わせて、全身を使って紙の上を走り回る様は音楽、書道、絵画、スポーツをコラボした総合芸術でした。完成した作品からは、ほとばしるオーラを感じました。
子供の頃に書道を習っていた事もあり、書を見たり、書くのが好きです。古文書を見る機会がありますが、惚れ惚れする毛筆が多くあります。眺めているだけで気がビンビン伝わって来て、力を貰います。
小学校の時に、書道を教頭先生が教えてくれました。この先生はとても変わっていました。書道の時間のほとんどは墨を擦るだけでした。
「墨を擦りながら心を落ち着けなさい。」
といつも言っていました。字を書こうとすると、
「まだ心が落ち着いていない。もっと墨を擦り続けなさい。」
と言われて、授業中に一枚書くのがやっとでした。一枚も書けず、墨だけ擦って終わることもありました。何の為の書道か分かりませんでした。
今でも筆を持って、毎月何度か書写をします。しかし昔と違って、もっぱら筆ペンという便利な物を使っています。墨を擦って心を落ち着けることはできませんが、やはり筆を持つと心が引き締まります。
書道も私の心を表現するアウトプットの一つです。