「未来のミライ」に見る永遠のテーマ

今週のお題「最近見た映画」
f:id:hiroukamix:20201113053253j:plain未来のミライ」というアニメの映画を見ました。子供のアニメと思って、あまり期待はしていませんでしたが、少し考えさせられました。
 親からとても愛されていた男の子がいました。妹のミライが生まれてから親の関心は妹に移ります。すると男の子は妹に嫉妬して虐めたり、赤ちゃん帰りをします。
 今まで父母の愛情を独り占めにしていたのに、妹に父母を奪われたような気持ちを味わったのだと思います。
 誰もが一度はこのような感情を通過した事があるのではないでしょうか。形は違いますが、スポーツや学問、芸術、仕事、分野は様々ですが、自分が一番注目されていたのに、自分以上に優秀な人間が後から現れて、自分以上に注目を浴びるようになった時に感じる寂しさや疎外感のようなものです。
 実際は男の子に対する父母の愛情は今までと変わらなかったと思います。しかし、独り占めしていた愛情が、ある意味で妹と半分づつになってしまったと思ったかもしれません。半分妹に取られた、という被害者意識が、妹を虐めたり、赤ちゃん帰りする結果になったと思います。
 面白いのは、この家では男の子が生まれる前に犬を飼っていました。その犬も男の子と同じ気持ちを通過した事です。その犬は主人夫婦の愛情を独り占め(一匹占め)していました。そこに男の子が生まれてからは、愛情が半分どころか、ほとんど男の子に奪われたような気持ちを味わいました。今まで自分に対して接していた態度と明らかに違いました。当然ペットと実の子供は違います。
 その犬と男の子の心が通じるようになるのですが、それは当然かもしれません。同じ気持ちを通過したので。
 このテーマは恐らく千年前も今も、西洋も東洋も、大人も子供も全てに共通していると思います。人と比較する事が問題です。比較すると自分の方が優れていれば優越感、劣っていると劣等感を感じます。どちらにしても良い人間関係は築けません。
 特に自分が相手より劣っているように感じると、相手を蹴落として、その立場を奪い返す事により解決しようとします。それでは何の問題解決にもなっていません。このような時は、自分自身を情的に成長させる事によってしか解決できないと思います。そして相手の立場、更には親のような立場に立って初めて葛藤から解放されるのかなと思います。
 また愛情は独占する事により満たされるのではなく、分け与える事を通して、深まるのだと思います。男の子が家出して迷子になり不安と恐怖に襲われた時に、ミライちゃんが現れて
「僕ミライちゃんのお兄ちゃん。」
と言った瞬間から恐怖が去りました。愛を独占する立場から、兄として妹を愛する、或いは兄妹で愛を分かち合う立場を初めて自覚した瞬間だったと思います。