偉人の母⑩イエスの背後の母達

f:id:hiroukamix:20200611043842p:plain 時として、一人の偉人が生まれる背景に、多くの母達の愛情や精誠、犠牲があった場合があります。
 イエス・キリストの場合、母マリヤは勿論の事、その背景に連なる多くの女性の存在を考えざるを得ません。2千年もの歴史に影響を与えた人物には、2千年以上の積み重ねた母達の背景があったように思います。イエスの家系に登場する母達を何人か見ていきたいと思います。
 レアという女性は、夫に疎まれ無視され否定され続けた立場でした。とても寂しく恨めしい人生でした。それでも夫を愛し慕い続けました。そして天を賛美しました。
 ラハブはイスラエルの斥候をかくまった娼婦でした。場合によっては殺されてしまうかもしれない危険な行為でしたが、ラハブは心の声に従いました。
 ルツは、以前ミレーの「落ち穂拾い」のモデルになった女性として書いた事があります。
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https://hiroukamix.hatenablog.com/entry/2019/10/20/061404?_ga=2.160907517.1360421903.1590959496-1930165513.1565787791 
 ルツは異邦人ではありましたがイスラエル人と結婚しました。夫が亡くなった後、姑から故郷に帰るように言われましたが、ルツは帰りませんでした。落ち穂拾いをしながら姑を助けて一緒に生活をしました。村の人達は、実の母娘と間違えるほどにルツは姑に尽くしました。
 マリヤは場合によっては、姦淫の罪で殺されてしまうかもしれない立場でした。婚約中に婚約者のヨセフが身の覚えのない中で、イエスを妊娠したのですから。ヨセフがもし、
「私はマリヤのお腹の中の父親を知らない。」
と言ったら、マリヤは石打の刑となり、イエスが誕生する事はなかったでしょう。
 それぞれの女性達に共通しているのは、自分の命や立場を顧みず、誰かの為に、或いは天命の為に捧げた尊い生き様でした。
 歴史には名もない女性達も多く、男性達の陰に隠れて、母達の存在は目立たないように見えますが、実際の歴史を動かしているのは偉大な母達かもしれません。その時は報われないように見えても、無私の愛や精誠、犠牲は必ずどこかで実る事を歴史は教えてくれます。