言葉の力①言霊

f:id:hiroukamix:20200704074250j:plain 日本には昔から言霊(ことだま)の思想があります。万葉集には「大和は言霊(ことだま)の幸(さき)はふ国」と表現しています。言葉には魂が籠もっています。確かに、言葉には力があります。
 ある嫁が姑の介護をしていました。姑は寝た切りで、耳が遠くなっていました。嫁が姑の部屋で布団を替えている時に、小さな声で
「いつまで、こんな世話が続くのだろう?」
 と、ぼやいたそうです。すると、耳が遠いはずの姑に聞こえてしまいました。姑は息子にそのことを伝えました。嫁は夫から、それを聞かされて驚きました。姑は翌日亡くなってしまったそうです。何気ない一言が、生きる力を奪ってしまったのです。
 こんな話も聞きました。父親が前科者で、息子は親に反発して家を出ました。父親が年老いて心細くなり、息子に帰って来て欲しいと手紙を書きました。すると、息子は
「てめえなんか早く、くたばっちまえ。」
 と返事を書きました。その翌日父親は亡くなってしまったそうです。息子は、そのことをとても悔いました。その後、息子は言葉を通して多くの人々の心の悩みを解決する仕事を始めました。
 誰かの一言で、悲しみや苦しみから抜け出す事もあります。言葉は人を生かしもするし、殺しもします。言葉の大切さを感じます。