ある外国人が日本人の口癖を調べたそうです。一番多いのが「しょうがない」だったそうです。「しょうがない」は「仕様がない」と書いて、手段も方法もない、という意味です。
色々と手を尽くしたが万策尽きて、諦める時に使われるようになったそうです。「どう仕様もない」とも言います。初めから何もしないで、諦めるのとは違います。
日本人にはどうも「諦め」=「悟り」という風潮があるようです。
「良い年して、いつまでそんな夢を見ているんだ。時間の無駄だから、早く悟りなさい。」
「あなたに期待する私が馬鹿だった。もう期待してはいけない、と悟りました。」
「私には無理だと悟りました。」
など、上の全ての「悟り」は「諦め」です。
仏教文化圏では、あまり科学が発展しませんでした。ありのままに対象を見る事が、一つの限界を作ってしまったようです。
「花は紅、柳は緑」
という言葉があります。元々は、
「花は色とりどりに咲き誇り、自然の営みに全てを委ね、一瞬一瞬をあるがままに生きています。」
という意味で、その草や樹木の持つそれぞれの個性を尊重し、限りない生命の息吹を感じ取り、感動した言葉です。
しかし、間違った解釈をして、赤い物は赤いし、緑の物は緑で変えられない。だからしょうがない、という風に限界を作ってしまったのだと思います。
私たちは、自分と他を比較して、どうにもならないことに思い悩む事があります。たとえば、他と比べてこちらが優れていると感じた時は喜び、逆に劣っていると思えば、焦りや憤りが生じ劣等感に苛まれます。「花は紅、柳は緑」は、そのような思いを戒めた言葉でもあります。
人生は他人との比較ではなく、自分の中の個性や可能性を信じて、最後まで「諦めない」事が大切だと思います。