種の不思議③

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 松ぼっくりは生まれる前から、山火事があるのを知っていたに違いない。
 最近アマゾンやオーストラリア、アメリカなどで起きた山火事のニュースをよく聞く。不思議なことに、あえて消火活動をしない場合があるという。そのほうが元の自然が再現されるというのだ。
 燃えた草木が肥やしとなる。そこに鳥や虫、風が種を運んで来る。蜂や蝶が受粉を助ける。環境に頼るだけではなく、植物自身の中に生きる意志や子孫を残す仕組みがあるようだ。
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 ジャックパインやロッジポールパインという松の仲間がある。山火事で木も葉も焼けてしまっても、その松の実は焼け跡に残る。普通の松ぼっくりとは全然違う。火事でも焼けないのだ。ハンマーで叩いても壊れないという。頑丈にできている。では、その松ぼっくりは、いつ、どのようにして種を撒くのだろうか?
 雨が降ったその後に、太陽の光が差すと、自然と松ぼっくりが開き、地面に種が撒かれるそうだ。
 何と賢い植物だろうか。火で焼かれ、水に触れて、日を浴びて初めて芽が出る。そのようにして、子孫を残している。従って山火事が起きないと、子孫を残せない仕組みなのだ。
 だから、この松ぼっくりは生まれる前から山火事が起こることを知っていたことになる。足がなく歩くこともできず、口がなく喋ることもできない松ぼっくりが、生きる術や子孫を残す術を知っているのは驚きだ。
 植物には人間が想像できない不思議な仕組みや、感動的な営みがある。

続く

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