大切な人⑦感謝しかない父母への思い

今週のお題「大切な人へ」
f:id:hiroukamix:20200221054706j:plain 父には若い時からの口癖があった。
「我は神なり。」
 という言葉だ。とても傲慢に聞こえるが、父は決して傲慢で言ったのではない。
「有言実行」の人なのだ。その言葉を口にすることで、自分が悪いことができず、人助けや地域社会の為に生きる自分になる為の戒めだと言った。
不言実行」は曖昧だから好きではない、と言っていた。「言ったからにはやる、やったからには言う」、それがモットーだという。
 親戚や地域、会社の人たちからとても頼りにされてきた。父の上には六人のお姉さんがいるが、皆弟である父に一目置いてきたようだ。長男だからというよりも、父が世話好きだからだと思う。
 そんな父を、母は黙々と支えている。二人はとても仲が良い。母は祖母の世話も献身的にしてきた。祖母は百三才まで生きたが、母の愛情によって生かされたと思う。父の姉である伯母たちも、母には感心していた。
 子供の頃、私は母が寝ているのを見たことがなかった。朝起きると、食事の仕度をしていた。夜寝る時は、まだ家事をしていた。母はいったい、いつ寝るのだろうかと、いつも不思議に思っていた。
 そんな母も今年九十になる。私にできることは、たまに顔を出すことくらいだ。二人とも認知にも、寝た切りにもならずにいてくれるのが有り難い。親の健康を祈るばかりだ。