今週のお題「夏うた」
山頂に着いたのは、日の出の少し前でした。まだ暗闇の中でした。空を見上げて驚きました。満天の星だったのです。こんな星空は、今まで見たことがありませんでした。360度、空のどの方向を見ても隙間がないくらいに、星がびっしりと詰まっていました。どんなプラネタリウムも、この星空には絶対にかなわない、と思いました。
小学生の頃は天文少年でした。兄が親にお願いして望遠鏡を買ってもらいました。兄に教わりながら、色々な天体を見ました。月や太陽、土星、木星、金星、星雲、星団、銀河などです。特に月のクレーターや太陽の黒点、土星の輪には感動しました。弟も兄の影響か、気象に関係する仕事につきました。
宇宙にはロマンがあります。好奇心も呼び起こされます。星空を見ていると、小さな地球で、やれこの島は我が国の領土だとか、この境界線から内の土地なので、入ってはいけないとか、せせこましいことを言っているのが、バカバカしくなってしまいます。
天の川も肉眼でくっきりと見えました。文字通り、天上を流れる川のようでした。いつまで見ていても飽きませんでした。今でも、その光景がはっきりと目に焼き付いています。やっぱり富士山は素晴らしい。登って良かった、と思いました。
うっとりと星空に見とれている内に、段々と辺りが明るくなってきました。次はご来光です。富士山の東側に移動して、雲の間から出てくる太陽を待ちました。
続く