②父からの祝辞

今週のお題「お父さん」
 以前書いたものですが、今週のお題に合わせて、書き直したり、書き足したものを数編載せます。
f:id:hiroukamix:20200622063650j:plain 私は訳あって大学の卒業式に出られませんでした。すると父が
「俺が学長に代わって、祝辞をしてやる。」
 と言って三つの話をしてくれました。
 一つ目は、まず私に質問をしました。
「『当たって砕けろ。』とは、どういう意味だと思う?」
 私は少し考えてから、自信なさげに答えました。
「砕かれても良いので、まず当たりなさい、ということだと思います。」 
 すると父は言いました。
「自分の解釈は少し違う。いったん志を持ったら、たとえ壁に当たって砕かれても、何度砕かれても、諦めずに挑戦し続けて、最後は壁を砕いて志を成し遂げることだと思う。海の波は岩にぶつかって何万回も何万年も砕かれ続けるが、最後にはあの硬い岩を砕いてしまう。そのように生きなさい。」
 と言いました。この言葉が、どれほど大きな力になったか分かりません。くじけそうになった時が何度もありましたが、そのたびに、この言葉に励まされ、助けられました。
 二つ目は、
「虎の尻尾になるより、鶏の頭になりなさい。」
 と言いました。これは、何か出世しろとか、偉くなれ、という意味ではありません。ただ人の命令や指示で動く消極的な生き方ではなく、自分で主体的に考えて、自分の意志をはっきり持って生きなさい、ということでした。雀の頭くらいにはなれたかな、と思います。
 三つ目は、
「一度自分で決めたことは、責任を持って最後まで全うしなさい。」
 というものでした。途中で諦めたり、逃げるのであれば、最初からしないほうがいい、と言いました。
 もう40年も前の話ですが、はっきりと覚えています。それは、ことある度に自分に言い聞かせて来たからだと思います。大学を卒業する節目の時に、このような祝辞をもらい、今でも感謝しています。