猫になりたい①

今週のお題「ねこ」
f:id:hiroukamix:20200224054745j:plain 一度載せた話で恐縮だが、「猫」のお題が出てきたので、再度載せさせて頂く。

 子供の頃に家で色々な動物を飼っていた。スピッツでシロという名前の犬がいた。文字通り真っ白でふさふさした毛のオスの子犬だった。最初は家の中で飼っていたが、お客さんが来ると大きな声で吠えてうるさかったので、家の裏に犬小屋を作って飼った。
 その頃ペットフードなどという洒落た物はなかった。余ったご飯に野菜と味噌汁を掛けたものがご馳走だった。鳥の骨なども喜んでしゃぶった。「お手」や「おすわり」など一通りのことができる賢い(普通?)犬だった。
 鳩も飼っていた。クックッと鳴きながら頭を前後に動かして歩く姿が愉快に見えた。時々、鳩を小屋の外に出した。群れをなして家の上空をぐるぐる回りながら飛んだ。必ず皆戻って来るのが嬉しかった。たまに、よその鳩を連れて帰ることもあった。次に飛ばすと、元の主に帰ったのか、一緒に戻って来なかった。
 庭には池があり、黒や赤の鯉や金魚がいた。川で釣った魚も放して一緒に泳がしていた。鯉や川魚をじーっと見ていると飽きなかった。
 飼っていた訳ではないが、狸やキジなども家の周りに姿を現した。裏山には熊や鹿も出没した。今でも猪や鹿が庭の百合の球根や竹やぶの筍を食べに来る。野菜は全滅に等しい。
 昔隣の家では山羊を飼っていて、お乳をもらって飲んだがとても濃い味だった。 
 猫も飼っていた。私は子供の時に、猫になりたいと本気で思ったことがある。猫が羨ましかったのだ。

続く