今週のお題「ねこ」
授業中に手を上げて質問したり、意見を言うことも一度もなかった。頭の中が空っぽなので、何を言って良いのか分からなかったのだ。
周りの人が話しをしたり、文章を書いたりできることが凄いと思った。自分には苦痛でしかなかったのに。
先ほど少し触れたが、子供の時に家で猫を飼っていた。名前はマリと言った。白と黒の斑模様の毛をしているメス猫だった。寝ていると、よく布団の中に入って来た。冬は湯たんぽ代わりになった。朝起きてみると、兄の布団の中で子猫を何匹か生んでいたことがあった。その後、その子猫たちがどこに行ったかは覚えていない。
マリはいつも何もしないで、毬のようにじーっと丸くなって寝そべっていることが多かった。だからマリと名づけたかどうかは分からない。
マリは好きな時に起きて、好きな所に行って、好きな時に帰って来て、好きな時に寝ているように見えた。人と話す必要もないし、作文を書く必要もない。何かを考えているようには思えなかった。私はそんなマリがとても羨ましかった。だから猫になりたかったのだ。
続く