今週のお題「ねこ」
小学生の頃は人間関係がとても嫌いだった。煩わしかったのだ。誰かと一緒にいても何を話して良いか分からないし、どう振る舞ったら良いか分からなかった。自分の中から何の言葉も出てこなかった。
何故言葉が出てこなかったかと言うと、チコちゃんに叱られそうだが、いつもボーッとしていたからだ。ふと我に帰ると、何も感じていない自分や何も考えていない自分がいた。心も頭も空っぽで全く働いていなかったのだ。
焦点が何とも合わず、ひたすらボーッとしていた。だからと言って、別に退屈でもなかった。ボーッとしているのが楽だった。
だから自分の気持ちを表現することも、自分の考えを誰かに伝えることもできなかった。話す言葉を持ち合わせていなかったのだ。
そんな私なので、周囲から見ると全く存在感がない子供だった。同級生たちと半日一緒にいたのに、
「あれ、いつからそこにいたの?」
とよく聞かれた。
「初めからずーっといたよ。」
と答えると、
「えっ、知らなかった。」
と言われるのが常だった。
家にいても何をして良いか分からないので、兄の後ろを金魚の糞のようにくっついていた。
続く