主人を慕う犬の情

「猫」のお題が続いたので、一つ犬の話を載せようと思う。
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 福岡に住んでいる人が犬を飼っていた。鳴き声がうるさいので殺せと隣人に言われた。長い間、大事に愛してきたかけがえのない犬だったので、どうしたら良いか途方にくれた。悩んだ末、やむを得ず、大阪の娘の家に預けに行った。
 ところが、翌日犬が鎖を切って行方不明になってしまった。一週間経っても、十日過ぎても、音沙汰がなかった。すると二週間後に、広島の警察から電話があった。道端で倒れているところを保護された。首輪に書かれた番号に電話したら、福岡の飼い主に繋がったという。
 大阪から福岡まで歩いて帰ろうとして、ほとんど飲まず食わずで歩き続けたに違いない。2週間で400キロ、骨と皮になっていた。無理をしたのがいけなかったのか、残念ながら一年後に亡くなってしまったそうだ。
 飼い主を慕う情が何とも涙ぐましい。忠犬八公もそうだが、愛情で結ばれた関係は種を越えてしまうようだ。