呑み込むことができなかった犬の肉

今週のお題「いい肉」
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 以前東南アジアのある国に行って、昼食を食べていた。肉が出てきたが、噛んでも噛んでも、柔らかくならない。歯で噛み切れないし、味も美味しくない。初めて食べた食感だった。
 何の肉かウェイトレスに聞いてみた。すると犬の肉だと言う。思わず口の中から肉を吐き出してしまった。
 日本人には犬を食べる習慣がないので、とても抵抗を感じる。聞けば、夏バテ対策などの滋養強壮に良いという。現地の人たちは鰻のような感覚で食べているのだろうかと思った。しかし、その時は十一月だった。
 犬は最も古くからの人間の友人と言われる。私も子供の時にスピッツという白い犬を飼っていた。犬は家族という意識が強いので、食べるという発想は全くない。
 犬の肉が出た国は当時天災などで、食料事情が良くなかった。田舎に行くと、実が大きくならなかった稲が垂れ下がらずに立ったまま、刈られずに寂しく田んぼに取り残されていた。屋根の上には草が干してあった。食料の足しにするのだという。出す肉がなくて、やむを得ず犬の肉を出したのかどうかは分からない。
 国や地域が変わると、文化や風習、考え方などが異なる。最近は身近な所で外国人と会うようになった。家の階下からも理解できない外国語の怒鳴り声が毎日聞こえてくる。益々世の中は国際化していく。お互いの違いを理解し、受け止めていくことは簡単ではない。それでも、共に歩み寄って相互理解を深めていかなければならない。