神様の愛「松茸」

今週のお題「盛り」

 アジアのある国へ、旅行に行ったときのことです。山の麓のレストランで、焼き肉を食べようとしました。メニューに松茸が五百円とあったので、注文してみました。数個出てくるのかと思ったら、何とザルに山「盛り」に出てきました。
 確かにレストランの周りは松林です。多分松茸がたくさん生えていたのだと思います。また、その国では松茸を高級食材としていなかったのかもしれません。
 みなあれほど松茸を食べたことはありませんでした。香りも味も量も、じゅうぶん満足するものでした。肉よりも松茸でお腹がいっぱいになりました。
 その国は三年間の干ばつが続き、米も不作で、多くの作物が打撃を受けました。ほとんどの家の屋根には草が干してありました。食べられる草は何でも食料にしたのだと思います。
 旅行者には行く先々でご馳走が出ましたが、地元の人々は飢えで苦しんでいたのだと思います。
 私たちが訪れた山の麓は、人里から遠く離れていたので、その国の人たちも足を運ぶことがなかったのだと思います。
 あのような山盛りの松茸は残念ながら、そのときいらい目にしたことも、口にしたこともありません。