家から歩いて三分の所に音大がある。年に数回、無料のコンサートが聞けるのが嬉しい。昨晩は、トライアルコンサートというのがあった。
オーディションで選ばれた三人の音大生とオーケストラとの共演だった。一人目は作曲、二人目はオーボエ、三人目はピアノだった。
三列目の中央左側の席に座った。ピアノの手の動きを見たいからだ。後ろには大勢いたが、私の前も横も誰もいなかったので、私が一人でぽつんと一番前の正面に座っている感じで、居心地が良くなかった。
最初の曲は学生が作曲した「自由」というテーマの曲だった。低音の厳かな旋律から始まり、軽やかな明るい雰囲気になり、最後は激しくダイナミックな感じで終わった。中々大したものだと思った。
オーケストラの演奏が終わると、作曲した学生が壇上に上がって挨拶をしていた。とても嬉しそうだった。自分の作った曲を、オーケストラが演奏してくれるというのは快感だろうな、と思った。
二人目はシュトラウスのオーボエ協奏曲だった。両手でオーボエを持ちながら、口だけではなく、全身で表現しながら演奏していた。笛の音色が会場に良く響いた。
最後はモーツァルトのピアノ協奏曲第26番「戴冠式」という曲だった。華麗な指さばきに見とれて、うっとりとしてしまった。あんな風にピアノが弾けたら良いな、と羨ましかった。
それぞれ学生とは思えない立派な演奏だった。生でオーケストラを聞けるのはとても贅沢な気がした。テレビで見たり、CDで聞くよりは、ずっと良かった。また機会があれば、行ってみたい。