菊の花と紋章

f:id:hiroukamix:20191205134659j:plain 家を出ると、すぐそばに畑がある。白菜、大根、人参、えんどう、ネギなどが植えてある。その畑の周りをぐるりと菊の花が囲んでいる。黄色やピンク、白、紫、赤、橙、色とりどりの菊が咲いている。大きさも様々だ。自由気ままに咲いている。
 隣の畑は、一列づつ種類の違う野菜が植えてあるが、真ん中の一列が菊の花だ。ここも千差万別の色と形の菊があるが、こちらは自由と言うよりも、所狭しと窮屈そうに咲いている。
 少し離れた家の庭にも菊の花が三列に行儀良く並んで咲いている。ここは皆小菊ばかりだ。
 その隣にも菊があるが、何故か鶏小屋のような中にひっそりと咲いている。貴重な品種で、泥棒除けとも思えない。素人には普通の菊にしか見えない。
 菊の花を見て、菊の御紋を思い出した。勿論天皇家の紋章だ。しかし、同じ紋章をイスラエルで見たことがある。エルサレムの旧市街は城壁で覆われている。その壁に八つの門があるが、一つの門の上に菊の御紋があった。イスラエル王家の紋章だという。しかも天皇家と同じ十六花弁の菊だ。菊の花には様々な種類があるのに、何故同じ十六花弁なのか不思議だ。
 神社の造りとイスラエルの神殿の造りがそっくりなのも意味があるように思う。世界は広いようで狭い気がする。
 菊の話の繋がりで、実は父の八才上の伯母さんの名前が菊代という。学生時代にとてもお世話になった伯母さんだ。つい先日百才で大往生した。菊の季節に逝って喜んでいる気がする。お祖母ちゃんは百三才だったので、長生きの家系だ。
 以前庭に菊の花を植えていた。毎年春になると、根本から新しい芽が出てきた。そして、まるで一年の最後を飾るように、十月頃から咲き初めて年を越えるまで咲き続ける。菊の花を見ると、今年ももうすぐ終わるのだと感じる。菊は有終の美を飾る花なのかと思う。だから仏花にも用いられるのかなと思ったりする。