ど根性南天とど根性スミレ

今週のお題「紅葉」
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 前住んでいた家の敷地に、ど根性南天が生えていた。コンクリートの四角いタイルとタイルの間の僅か5ミリにも満たない隙間に窮屈そうに二本が並んでいた。まさに、ど根性でお互いが励まし合って、狭さに負けないぞ、と言っている声が聞こえそうだった。
 幹が太くなれないので、高さも一つは20センチ位、もう一つは10センチ程しかなかった。
 近くに南天は見かけないので、鳥が実を食べた後に、フンと一緒に撒いて行ったのかと思う。無人島など、鳥が運んだ種で植物が増えた話を良く聞く。
 その南天が秋になると、真っ赤に綺麗に紅葉していた。タイルとタイルの間に苔も生えていて、まるで自然が作った盆栽のように見えた。秋が来ると、それを見るのが楽しみだった。
 しかし、ある年に誰かが草と一緒に切ってしまった。折角狭い隙間にど根性で耐えてきたのに、残念だった。
 職場の駐車場の隅っこの、やはり5ミリ位のコンクリートの隙間に、スミレが並んで生えていた。春になると、それが一斉に花を咲かせた。ど根性スミレだ。2メートル位の長さ一列に咲くのは見事だ。種がこぼれて、毎年咲くのが楽しみだった。
 ところが、ある年に誰かが草と一緒に全て抜いてしまった。がっかりした。こぼれ種から多少はまだ出て来るが、斑になってしまった。
 植物たちは、草もそうだが、一所懸命に生きている。足がないので、自分から移動する事ができないので、鳥や虫、風、時には人間の力を借りながら、精一杯そこに這いつくばって生きている。とても健気に感じる。そんな植物たちに、少しでも応援をしたい。