四千万年かけて創った息をのむ絶景(1/3 グランドキャニオン)

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 思わず、手を合わせたくなる景色がある。十年以上前にアメリカのグランドキャニオンに行った時のことだ。その雄大さに言葉を失った。まるで地球の裂け目だった。気が遠くなりそうな巨大な絶景に圧倒された。
 初めて行った時は、わずか十五分くらいしか滞在時間がなく、ゆっくり眺めることができなかった。二度目の時は一時間以上滞在できたので、神秘的で勇壮なその姿をしっかりと目に焼きつけることができた。
 まさに、自然の芸術であり、傑作品だ。人間がどんなに上手に絵を描いたとしても、青銅や粘土で立派な像を創っても、グランドキャニオンを表現するのは困難だ。またどんなに自分の力を誇っても虚しい。偉大な自然の前に、人間は無力だと思った。
 訪れた場所は、コロラド川の川底までの深さが約千六百メートル、向こう岸までの距離は約十六キロあると聞いた。まさに息をのむ景色だった。
 グランドキャニオンの起源は今から約七千万年前、地殻変動によって、その辺一帯が隆起したことから始まった。
 約四千万年前にコロラド川による浸食が始まり、現在のような峡谷は、約二百万年前にでき上がったという。今もなお、川底はコロラド川の水によって浸食されている。崖は風化や、岩にしみ込んだ水が凍る時の膨張によって、あるいは植物の根っこにより、浸食が続いている。
 グランド・キャニオンの断崖は平均の深さ約千二百メートル、最深地点は千八百メートル、長さ四四六 キロメートル、幅六キロメートル~二十九キロメートルに及ぶという。何というスケールの大きさだろう。
 川に近いところには、原住民の住居跡もあるという。馬に乗って川まで降りたり、川をカヌーで下るツアーもあるようだ。