虚しい香りを放つ金木犀?!

今週のお題「秋の空気」
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 団地の階段を下りて、一階の出口を出ると、両側に金木犀が沢山咲いている。その強い香りが秋の空気を伝わってくる。確かに良い香りだが、木の由来を知ってから、この香りが漂うと寂しく虚しい思いになる。
 金木犀は原産地が中国だ。江戸時代に日本に渡来した。イチョウと同じで、株が雄と雌に分かれている。香りが良いのは雄の木だ。雌の木は花の数も少なく、香りも弱い。だから中国から日本に渡来してきたのは雄の木だけだった。日本中にある金木犀は全て挿し木で増やした。即ち親株と全く同じ遺伝情報を持つクローンなのだ。簡単に挿し木で増やせる木だ。
 どんなに雄株が花粉を飛ばしても、雌株に届いて受粉されることはない。日本に雌株はないのだから。何と虚しい木だろうか。雌株に届くように、これでもか、これでもかと花粉を飛ばしているような気がする。植物は子孫を残す為に、健気(けなげ)なほど必死だ。
 結ばれることのない雄株と雌株。何かとても哀れでならない。金木犀の香りに寂しさと虚しさを感じるのは私だけだろうか?