「タイタニック」の教訓

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 テレビで「タイタニック」の前編、後編を見ました。2回目ですが、今回人間の生き方について、深く考えさせられました。
 タイタニックの沈没から、すでに109年が経っています。今は生存者はいません。沈没で亡くなった人も、生き残って更に生きた人たちも、等しく全て過去の人物となっています。
 自分がもし沈没していくタイタニックにいたら、どんな行動を取っただろうか、と考えました。人を蹴落として、我先にと救命ボートに向かっていたような気がします。
 長生きした人が、立派な足跡を残しているとは限りません。タイタニックと若くして運命を共にした人の中にも、今なお感動を与える人たちがいます。生き残った人々も様々です。
 人々を励ますために、誇りを持って、最後まで演奏した音楽家たち。自らの責務を全うして、人々を誘導して亡くなっていった船員たち。自主的に案内役を買って出た、名もない乗客もいたかもしれません。生き残った意味を考えて、天命を見いだし、使命感を持って立派に生きた人たちもいたでしょう。
 人生は長さではない、としみじみと思いました。人生は長くても100年余りです。200年、1000年経っても後の人に残せる価値を持った生き方、それが尊い生き方だと感じました。
 生き残るために、他人を犠牲にしたり、汚い方法を使った人もいました。しかし、惨めさと後悔しか残らないはずです。
 いつかは誰でも「過去の人」になります。その意味では、「永遠」という物差しで、今の自分の生き方や行動を見つめることが、悔いのない生き方に通じると思いました。「タイタニック」の教訓を生かしたいと思います。

「鬼滅の刃」でイエスの愛を見た

今週のお題「おうち時間2021」
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鬼滅の刃」が今とても人気です。何が多くの人々を引き付けるのかと、遅ればせながら私も映画の「無限列車編」を見に行きました。何の予備知識もなく、前後の話も良く分からないまま見ました。人間と鬼との戦いだということは、何となく分かります。
 煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)が鬼から200人の乗客を守る為に鬼と戦って亡くなります。死ぬ直前にお母さんが幻で現れました。煉獄は聞きます。
「やるべき事を全うできたか?これで良かったか?」
と。お母さんは微笑みながら答えました。
「これで良かった。立派だった。」
と。200人の乗客を1人も犠牲にしないで救ったのは愛を動機に生きていたからだと思います。息子が死んだ悲しみと苦痛を母が昇華できたのも、母が愛を動機に生きていたからだと思います。二人共、ただの正義感だけではなかったと思います。
 イエス・キリストが、
「友のために自分の命を捨てること、これ以上の愛はない」(ヨハネ15/13)
という言葉を残しています。まさに煉獄の行為は、この「愛」に匹敵すると思います。
「愛」という言葉は、日常あふれるほど聞きます。しかし、自分が他者から愛をもらおうと願うことが多いと思います。
 他者に、しかも見ず知らずの人に与えようという愛は中々できるものではないと思います。
鬼滅の刃」の人気の秘密は、家族愛と更にそれを越えた人間愛にあるような気がします。
 ソーシャルディスタンスなど、コロナで人間関係が希薄になりやすい時期だけに、多くの人々が「鬼滅の刃」にひかれるのかなと思います。

小さな大きな一歩

今週のお題「おうち時間2021」
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 これは私が知人から聞いた話です。

 ヘレン・ケラーは目が見えない、耳が聞こえない、話せないという三重苦を抱えていました。アニー・サリバンという最高の師と出会い、誰もが知る偉人となりました。

 今からお話しするのは、ヘレンケラーのことではありません。100年ほど前にアメリカのニューイングランド州の病院で、掃除婦をしていたおばさんのお話です。

 その病院には、『緊張型精神分裂症』と診断された9歳の女の子が入院していました。女の子は幼くして両親と生き別れました。弟と一緒に施設に引き取られましたが、弟もほどなくして亡くなりました。大きな悲しみに暮れた少女は、そのショックから視力を殆ど失いました。追い打ちをかけるように、この重い心の病にかかってしまったのです。

 著名な医師たちが彼女を診断しますが、治る見込みはない、ということでした。当時は精神障害に対して差別も色濃かった時代でした。彼女は一日のほとんどを鉄格子のついた病室のベッドに横たわって過ごしました。笑うことも、言葉を発することもなく、ただ死を待つばかりでした。
 少女の部屋の周りを掃除をするために、毎日おばさんがやってきました。そのおばさんにも、同じくらいの年の娘がいたので不憫に思いながら、時折声をかけてみました。

『元気?』
「・・・」
『いいお天気だよ。あんた、今日も全然食べてないじゃない。』
「・・・」
『少しは食べて元気出さなきゃね。』
「・・・」

 少女は表情一つ変えることはありません。そこでおばさんは、毎日病室の前を去る前に、ちょんちょん、とホウキの柄で少女の肩を優しくつついてあげることにしました。

 鉄格子があるので、直接触れることはできません。でもホウキなら
『明日も来るからね。』
ちょんちょん。
『ご飯持ってきたよ。』
ちょんちょん。
『さあ、今日も廊下をきれいにしておいたからね。』
なでなで。
 鉄格子の間からホウキを差し入れて、そっとつついたり撫でたりしました。おばさんは、そんなことしかしてあげることはできませんでした。それでも何かせずにはいられなかったのです。

 それから三か月ほど経ったある日、小さな変化が起きました。おばさんが病室の前に行くと、いつもベッドに横たわっていた少女が、座っているのです。

『あれ!今日は顔色もいいじゃない!具合がいいの?』
「・・・」
『良かったね、今日はおばさん、張り切ってきれいにしておくからね。』
「・・・」
『また明日ね。』
ちょんちょん。
 それから少女は、少しずつご飯のお盆を
手で受け取れるようになりました。ほんの一言ずつでしたが言葉を発するようになりました。弱視ながら視力を取り戻して、笑顔まで見せるようになりました。

 偉い医師たちが匙を投げた少女は、やがて奇跡のような回復を遂げていったのです。

 それから約10年後。この病院の院長は、アラバマ州から来た紳士からある相談を受けます。紳士の子どもが重度の障害児で、世話をしてくれる人を探しているというのです。

 その頃、あの少女は19歳になっていました。院長は自信を持って、彼女を紳士に紹介しました。

 彼女の名は、アニー・サリバン。病室でただ死を待つだけだった、あの少女です。

 ヘレン・ケラーの世界的偉業は、アニー・サリバンの存在があったからこそ、という事実は私たち誰もが知るところです。

 ではそのアニー・サリバンは誰によって未来への扉を開かれたのでしょうか。ホウキの先ほどの、小さな愛。どんな大木も、たった一粒の種から生まれ、どんな大企業も、たった一人の志から始まります。

 私たちは、
『いい世界を創ろう!』
などと聞くと、
『私なんかにそんな大きなことはできない。』
と思ってしまいがちです。

 私のたった一言、たった一つの小さな愛の行動が、今私がいる場所の片隅にあたたかな火を灯し、やがて世界を変える大きな力になるかもしれません。

家の近くで異空間を大発見

今週のお題「おうち時間2021」
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 おうち時間が与えられたお陰で、最近嬉しい発見がありました。とても日常とかけ離れた異空間を家から目と鼻の先で見つけたのです。日常の中にも十分な感動と不思議な世界がありますが、たまには非日常の世界を見るのも気分転換になります。
 ただの散歩道ですが、まるで山か森の中を歩いている気分になります。普段全然通らない方向なので全く存在に気がつきませんでした。
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 江戸時代に、江戸と川越を船で行き来した河原沿いにあります。頭上が木々で覆われていて、散歩道から民家や畑などが見えないので、町の喧騒を忘れさせてくれます。
 途中に野草園があり、珍しい草花を見ることができます。これも気に入った理由の一つです。
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 今は散歩道の始点にある橋の周りに鯉のぼりがたくさん泳いでいます。終点には東屋やトイレもあります。お弁当を持ってピクニックもできます。片道1キロほどで、往復しても丁度良い長さです。
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 崖側には、木々と共にシダ類、ユキノシタ、アイビー、ドクダミなど様々な雑草が群生しています。河原には、紫や赤、黄色の草花が綺麗に咲いています。
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 川で時々魚が跳ねます。見ると、大きな鯉がたくさん泳いでいます。鯉のぼりと競争しているようです。本家本元だけに、鯉のぼりには負けられないと、一所懸命にアピールしているような気がします。

身近で不思議な世界

今週のお題「おうち時間2021」
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 新緑の美しい季節がきました。若葉のまぶしい輝きは元気を届けてくれます。今まで枯れ木のように眠っていた木々がすっかり蘇りました。
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 ベランダの鉢にも新緑が訪れました。モミジ、ブドウ、桃、オリヅルランランタナゼラニウム、新しい葉が次々と出てきます。葉と共に花も咲き出しました。
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 種から成長したみかんの花が咲いています。若葉も日に日に大きくなっています。つい先日まで針のようだったのが嘘のようです。
 種から成長した柿の花も蕾を付けました。初め10個くらい蕾ができましたが、今は3つしか見えません。実が成ったことはありません。若葉がどんどん大きくなっています。
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 去年収穫して茎を切った唐辛子の切り株から、威勢良く若葉が出てきました。1年草かと思っていましたので、嬉しい誤算です。今年も唐辛子の実が成るのか期待してしまいます。
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 実家の庭から持ってきたユキノシタは寝ていた丸い小さな若葉が立ってきました。中心からたくさんのランナーが伸びてきました。30センチ以上伸びています。子株を定着させる場所を探しているようです。
 小さな鉢のイチゴも王冠のような若葉が出てきました。1本だけ長いランナーが伸びています。ワイルドストロベリーの大きな鉢に誘導しました。
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 家の周囲に紅カナメモチの垣根があります。何故か若葉が赤色をしています。紅葉のようです。夏に近づくとだんだん緑色になります。
 わざわざ遠くに行かなくても、身近な草木の中に、たくさんの感動の営みを見ることができます。何もない枝から葉が出てきたり、花が咲いたり、実が成ったりするのは、マジック以上の不思議を感じます。

ダルマストーブで蒸した弁当

今週のお題「お弁当」
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 社会に出てから弁当には縁がありませんでした。いつも職場で昼ご飯が準備されました。しかしコロナになってから、弁当持参が始まりました。愛妻弁当です。毎日工夫をして、栄養のある弁当を作ってくれます。弁当と言えば、小学生の頃を思い出します。
 小学校の弁当は毎日母の手作りでした。麦ご飯全体の上に、鰹節を載せ、醤油をかけ、その上に海苔を載せたものが好きでした。時には、更にその上にご飯と鰹節と海苔を載せた二段ベッドが最高の贅沢でした。
 冬になると、教室の中には石炭で燃やすダルマストーブがありました。順番で当番が来ると、朝早く学校に行って、皆が登校して来るまでに教室を暖めなければなりませんでした。中々石炭に火が点かないことがあり、また寒いのが大嫌いな私は、当番の日が憂鬱でした。
 担任の先生が、油の入っていた四角いブリキの一斗缶を持ってきました。缶の上のほうをくり抜いて、底に簀の子を敷き、水を少し入れました。その中に皆の弁当を入れてストーブに載せて蒸しました。お昼の頃には熱々の弁当ができ上がっていました。いつもお弁当の匂いが教室中に漂って、食欲をそそっていました。
 その小学校も、残念ながら廃校になってしまいました。

タイムトンネルを通って秘密の部屋へ

今週のお題「お題」
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 もう何10年も前のことですが、実家で家を建て替えました。私がしばらく帰省していない間のことです。
 久し振りに帰ったら、家が新しくなっていました。玄関も変わっていました。建て替え前、2階に私の部屋がありました。兄と共同で使っていた4畳半くらいの狭い部屋です。当然部屋はなくなっているはずでした。
 仏間の横に不思議な部屋がありました。その部屋に幅が50センチくらいの隙間があるのです。そこをくぐると、何と秘密の階段がありました。2階に上がってビックリしました。自分の部屋が、そのまま残っていたのです。
 古い家の一部を残したまま、新しい家を建てたのでした。新旧の家の出入り口が仏間の隣の小さな部屋でした。まるでタイムトンネルです。
 机も本棚も、壁に飾ったミレーの「落ち穂拾い」の額も、皆そのままでした。
 学生時代に何度も読んだ本を本棚から出して開くと懐かしい匂いがしました。机の引き出しを開けると、思い出の品々がたくさん出て来ました。修学旅行の記念のキーホルダーや手作りの小さな望遠鏡、スケッチブックなど。
 親の粋な計らいを感じました。わずか4畳半ほどの小さな空間ですが、今でも帰省して階段を上ると、タイムトンネルを通って過去に戻るような気分になります。