今週のお題「お題」
もう何10年も前のことですが、実家で家を建て替えました。私がしばらく帰省していない間のことです。
久し振りに帰ったら、家が新しくなっていました。玄関も変わっていました。建て替え前、2階に私の部屋がありました。兄と共同で使っていた4畳半くらいの狭い部屋です。当然部屋はなくなっているはずでした。
仏間の横に不思議な部屋がありました。その部屋に幅が50センチくらいの隙間があるのです。そこをくぐると、何と秘密の階段がありました。2階に上がってビックリしました。自分の部屋が、そのまま残っていたのです。
古い家の一部を残したまま、新しい家を建てたのでした。新旧の家の出入り口が仏間の隣の小さな部屋でした。まるでタイムトンネルです。
机も本棚も、壁に飾ったミレーの「落ち穂拾い」の額も、皆そのままでした。
学生時代に何度も読んだ本を本棚から出して開くと懐かしい匂いがしました。机の引き出しを開けると、思い出の品々がたくさん出て来ました。修学旅行の記念のキーホルダーや手作りの小さな望遠鏡、スケッチブックなど。
親の粋な計らいを感じました。わずか4畳半ほどの小さな空間ですが、今でも帰省して階段を上ると、タイムトンネルを通って過去に戻るような気分になります。