怖い話④ギブスの切断

今週のお題「怖い話
f:id:hiroukamix:20200818053254j:plain 小学校低学年の時に、誰が屋根(家の庭にある1階建ての物置)の一番高い所から飛び降りれるかを競争しました。皆低い所から飛び降りましたが、私は調子に乗って、一番高い所から飛び降りました。
「痛い!」
 右足に衝撃が走りました。痛くて立てません。みるみる内に足の指が腫れてきました。中指と薬指を骨折してしまいました。無鉄砲をしたものです。
 町の病院に連れて行かれ、レントゲンを撮った後、すぐギブスをしました。石膏を塗った包帯をぐるぐると足先から巻いていきます。太ももまでギブスを巻きました。
 どのくらいギブスをしていたか覚えていませんが1、2ヶ月くらいだったと思います。足が痒くても掻けないのが何とも歯がゆかったのを覚えています。針金の先を丸く曲げて、ギブスの隙間から入れて、何とか掻きました。
 骨が付いて、ようやくギブスを外す時を迎えました。小さな電動式ノコギリでギブスを縦に切っていきました。電動式ノコギリは歯が回転しながら凄い音を立てて、切っていきます。
 歯の圧力がグイッグイッと足に伝わる時、まるで足が切られている感じがしました。恐怖を感じて、お医者さんに思わず聞きました。
「足まで切れてないですか?」
すると、
「大丈夫。」
と答えましたが、私は気が気ではありませんでした。ノコギリの歯の圧が足に伝わる度に足が間違って切れていないかと不安と恐怖でいっぱいでした。ギブスを切断している5分か10分の間がとても長く感じられ、生きた心地がしませんでした。
 ギブスを切り終わって、足が無事であった事を確認して、ようやく安堵しました。これに懲りて、もう二度と無鉄砲な遊びはやめようと思いました。