新しい校歌と卒業式③

今週のお題「卒業」
f:id:hiroukamix:20200311040145j:plain 小学校の頃の遊び場所といえば、山や川だった。
 正月には、決まって凧上げをした。大会で、一番遠くまで飛ばして一等になったことがある。しかし、最後に糸が切れてしまい、凧が山の中に消えてなくなってしまった。とても愛着があった凧なのでがっかりしたが、賞品に別の凧をもらい気を取り直した。
 遊びといえば、ベーゴマ、メンコ、ビー玉、竹馬、トランプ、花札、双六、将棋、五目並べなどをよくやった。
 ベーゴマは、まず桶の上にテント用の頑丈なシートをかぶせて、ロープでしっかりと固定して「とこ」を作った。その上で勝負するのだ。ベーゴマに固く紐を巻きつけて、「エィっ」と掛け声をかけて、「とこ」の上でコマを回した。「とこ」から、はじき出されたり、先に止まったら負けだ。真剣勝負だった。とてもワクワクした。ベーゴマには野球選手の名前が刻まれていた。「川上」が一番人気だった。「稲尾」「国松」「金田」「長島」などがあったのを覚えている。
 竹馬も楽しかった。三メートルもある竹に、縦に二つに割った薪を針金でつけて足場を作った。足が二メートルもある竹馬だった。高さが二メートルくらいの石垣の上から竹馬に乗った。目の高さは三メートル以上だ。上から仲間を見下ろすのは気持ち良いものだった。
 夏は川で釣りや水遊びをした。ハヤという十センチ前後の魚をよく釣った。川は泳ぐほど広いところがなかったので、滝壺などで潜って遊んだ。一度滝壺から出られなくなって死ぬかと思ったことがある。必死にもがいて水を何杯も飲んでやっとのことで出て来た。五十年以上前のことだが、今でもあの恐怖をはっきり覚えている。 
 冬になると、必ず雪が積もった。すると、自家製のソリで山道を滑った。ソリは板と竹で作った。誰のソリが一番早いか競争したものだ。毎年工夫をこらして、ソリを改良するのが楽しかった。
 スキーも板と竹を使って自分で作った。靴を入れるところは、近所で機織りをしていたので、古くなった機械のベルトを切って使った。山の斜面の畑がスキー場だった。小さなジャンプ台も作って飛んだ。雪のない時は、長い直線の山道に葉っぱをたくさん敷いて、葉っぱスキーをした。
 冬のもう一つの楽しみはスケートだ。河原の日陰になるところに水を引いて、自然に凍ってリンクができた。初めは下駄の底に刃がついていて、紐で結んで滑ったが、不安定で転んでばかりいた。親にお願いしてスケート靴を買ってもらった。それからは、転ばずに滑れるようになった。 
 時々、山中湖にスケートに行った。湖が凍り広い自然のリンクになった。スケートに疲れたり、飽きると、湖の氷に穴を開けて、ワカサギを釣った。細いノコギリで、直径が三十センチほどの穴を開けて、短い竿で釣り糸を垂らした。
 すると小さなワカサギがたくさん釣れた。七輪でその場で焼いて食べると、最高のご馳走だった。
 一度、湖の氷の割れ目に人が落ちたのを見たことがある。すぐに助けられて、事なきを得たので良かった。自然のリンクは危険が伴う。
 小学校を卒業してからは、川も山もほとんど縁がなかったような気がする。「ふるさと」の歌が身にしみる昨今になってしまった。

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