今週のお題「ねこ」
私はこたつで背を丸くして座り、両手を頬のつっかえ棒にして、そんなマリを羨望の眼差しでじーっと見つめていた。マリと目と目が合うと、
「恥ずかしいので、そんなにじっと見つめないで欲しい。」
とマリが言っているように感じた。
何故自分は猫に生まれて来なかったのか、いつも悔やんだ。
猫と話ができないので分からないが、猫は猫で色々悩んだり、苦労しているのだろうか?人間に生まれたかった猫もいるのだろうか?猫からは人間が羨ましがれているのかもしれない。
猫が喋ったら、
「猫を舐めるんじゃないよ。猫には猫の悩みや苦しみがあるんだ。この人間は、何て馬鹿なことを言っているんだ。代わって欲しけりゃ、いつでも代わってやるよ。」
と言いそうだ。
しかし、それも今となっては昔のことだ。今は人間も捨てたものではない、と思っている。話すことも書くことも楽しいからだ。過去の自分では考えられない。言葉で表現できることがどんなに幸せなことか、とつくずくと感じるこの頃である。猫には失礼だが、猫に生まれて来なくて良かった。