今週のお題「応援」
夕方六時を少し過ぎた、帰り道のことだった。暗闇の中に小学校一年生くらいの男の子が、家の外でブルブル震えて立っていた。
「家の中に入らないの？」
と聞くと、
「六時までに帰らないと、中に入れないの。」
と答えた。子猫が一緒にいて、頭を子供の足にこすりつけていた。子供は猫に向かって
「お前は中に入れ。」
と言うが、子猫も子供にくっついて離れない。種(しゅ)を越えた、何と美しい愛だろうかと感動した。それにしても、こんな寒い中で子供を外に出し放しにするなんて、よほど怖いお母さんだろうと思った。
ドアが開く音がしたので、その場から少し離れて振り返って様子をみた。すると家の中からお母さんが出て来た。
「お前、何故そんな所にいるんだ？寒いじゃないか。」
と言い、抱きかかえた。子供は
「六時までに帰らないと、入っちゃいけないことになっていたから・・・」
と小さな体を震わせながら、涙声で言った。お母さんは
「中に入って、温かい物を作って上げるから食べよう。」
と優しく言って、家の中に入った。ちょっと安心した。子供の顔は約束を守った満足感と、ようやく家の中に入れる安堵に満ちた顔だった。あの男の子と猫にエールを贈りたい。
