リューマチをわずらっている方に会ったことがある。手の指が変形して痛々しい感じだった。一日中家の中でじっーとしていて寝たり起きたりの繰り返しだと言う。
以前リューマチは「リョーモチ」という話を聞いたことがある。「本音と建前」「顔で笑って、心で泣いて」の傾向が強い人がなり易い、ということだった。
そこで、聞いてみた。
「あまり自分の本音を言わない性格ですか?」
すると、
「はい、そうです。あることについては、棺桶まで持っていこうと思っています。」
という返事が返ってきた。何故そうしようとしているのかを聞くと、それで丸く収まるからだと言う。
話をよく聞くと、人と争ったり、波風を立てることが嫌で、自分が我慢さえすれば、うまくいくことが多いので、「当たらず障らず」、「触らぬ神にたたりなし」と思ってずっとやってきたという。
「それで本当に自分は幸せですか?」
と聞くと、
「周りが良ければ、自分が犠牲になっても良い」
と言う。
何かとても無理していると感じた。無理のしわ寄せが、指先や足の先に来て、リューマチになったような気がした。そこで、
「今まで誰にも言えなかった本音を私に話してみませんか」
と勧めてみた。しかし、
「棺桶まで持っていくと決めたので」
と先ほどの話を繰り返し、中々言おうとしない。今度は願いを聞いてみた。すると、
「孫をこの手で抱きたい。」
という返事だったので、
「心の底にしまってある本音を全部出し切ったら、リューマチも改善するかもしれません。そうしたら孫を抱けるようになりますよ。」
と話した。
ようやく重い口を開けて、話を始めた。姑からいじめられ、長い間ずっと我慢して来た。姑が亡くなってやっと解放されたかと思うと、今度は強い嫁がやって来て嫁からいじめられた。いつも自分さえ我慢すれば丸く収まると思い、誰にも何も言わずに来たと言う。
今までの苦労を慰労しながら、心の底にためてきたことを全て話してもらった。3回程訪問して話を聞いた。そして、1ヶ月ほど経ってから訪ねて驚いた。何と孫をおんぶしていたのだ。こんなに早く良くなるとは、私自身が信じられなかった。
今まで自分の心を偽って、無理をしてきたのが良くなかった、と言っていた。これからは自分にもっと正直になって人と対していこう、と思ったという。
肺の中の悪い空気を出さないと、新鮮な空気が入らないように、心の中の悪いものを全部出し切らないと、健康にはなれないと思った。