世の中には、科学では説明できない不思議なことがたくさんある。
ある日、小学校一年生の女の子が、泥水で羽を濡らして飛べなくなったモンシロチョウを見つけた。可哀想と思って、泥水から出して上げ、羽をティッシュで拭いて助けて上げた。蝶は喜んで、ひらりひらりと飛んで行った。
それから三日後のことだった。その女の子が通っている小学校の教室の中に、どこからともなく二羽のモンシロチョウがひらりひらりと舞って入って来た。モンシロチョウは女の子の頭や背中にしばらく止まった。他の誰にも止まらない。それが一週間続いたという。
そのモンシロチョウが、女の子が助けた蝶かどうかは分からないが、きっと、そうだと思う。
何か恩返しをした訳ではないが、助けてもらったお礼が言いたかったのだと思う。蝶にも人間と相通ずる心があるのかな、と思ってしまう。