車のラジオから流れてくる音楽に何度も感動を覚えたが、曲と曲の間の話にも感動したことがある。
車で通勤中にラジオのスイッチを付けたら、ある作家が話をしていた。途中からだったので、名前は分からない。
初め、その作家の父親が認知症の母親の面倒を見ていた。父親が亡くなり、父親の手紙があった。何故か結婚している長男でも次男でもなく、独身で三男の自分に母親の面倒を見て欲しいと書いてあった。それがとても不満で父親と母親を恨んだ。ご飯をこぼしたり、粗相をしたり、徘徊をする。
「お前は母親の癖に、何故俺を苦しめるんだ。」
と言っては、毎日母親に当たっていた。しかし暫くしてから、ふと次のように思ったと言う。
今まで自分は人を思いやる気持ちや優しさを全く持っていなかった。人間としてこれではいけない。母親は、そんな自分が人を思いやる優しい心を持てるように、わざと認知症になって俺を育ててくれているんだ、と。そのような気づきの後、母親の認知症の症状が改善したという。やはり、自分を育てる為だったと確信したそうだ。
その話の後、その作家の推薦した曲が流れたが、それは忘れた。
ラジオから流れてくる音楽や話は一方的ではあるが、何故か思いがけず大切なメッセージを送ってくる場合が多い。
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by ホンダアクセス
