①大海原で会った青年と老人

今週のお題「読書感想文」
f:id:hiroukamix:20200829053213j:plain 中学校の時に、とても優秀な同級生がいました。その人が書いた読書感想文が廊下に貼り出されました。何という本の感想文かは忘れました。50年近くも前の事なので記憶は曖昧ですが、読んだ一部が今でも心に残っています。
「船が沈没して、老人と青年が浮いている丸太に辿り着き、つかまりました。しかし二人がつかまると丸太が沈んでしまいます。どちらか一人が丸太から手を放さなければなりません。あなたが青年だったらどうしますか?」
という疑問を投げかけた話から感想文が始まっていました。その後の文章は覚えていません。
 多分ここまで読んで、私は自分がその青年だったらどうしただろうか、と考えている内に、続きを読み損ねたような気がします。
 その時どんな事を考えたかは何も覚えていません。多分「自分はまだ若いけど、おじいさんはもう十分長生きしたので、おじいさん手を放してね。」などと考えたかもしれません。
 何故かずっとこの話が心に残っていました。そしてある時、妄想が浮かんできました。
「青年が丸太から手を放します。おじいさんが生き残り、自分を助けた青年の話を子供や孫に聞かせます。その子孫から人の為に生きる立派な偉人が生まれます。」
 実はその後、本当に丸太から手を放した青年と同じような人物に、二人会う事になりました。

続く