神様の愛「彼岸」


 昨日はお彼岸の中日でした。「彼岸」は向こう岸という意味です。悟りを開いた仏の世界が「彼岸」です。凡夫が修行をして、煩悩から解脱して、仏になって「彼岸」に行きます。
 それに対して、煩悩に苦しむ凡夫の世界は「此岸(しがん)」です。こちら岸という意味です。今私たちが住んでいる世界のことです。
 仏の世界を極楽浄土や西方浄土といいます。彼岸の中日は、太陽が真西に沈むので、昼と夜の長さが同じになります。西方浄土に成仏することを願って、彼岸が始まったといわれます。残念ながら、昨日は曇っていて、日没は見られませんでした。
 お彼岸というと先祖供養のイメージがあります。しかし煩悩から解脱して仏になるのは先祖ではなく、この世にいる私たちです。
 本来のお彼岸は私たちが仏に近づくために修行する期間です。それを六波羅蜜といいます。お彼岸の一週間、毎日何の修行をするかも決まっています。
 一日目は布施といい、人のために尽くすことです。二日目は持戒といい、規則を守り良い生活習慣をつくることです。三日目は忍辱といい、目標や願いを達成するために忍耐することです。四日目は精進といい、幸せに向かって前向きに生きることです。五日目は禅定といい、ありのままの自分の姿や周囲の事実を見つめることです。六日目は智慧といい、人として正しい道を学ぶことです。
 お彼岸は七日間ありますから、六波羅蜜では一日足りません。お彼岸の中日は先祖のためにお墓参りに行きますから、その前後の六日間で六波羅蜜の行をします。
 本来は三百六十五日が修行の期間ですが、せめて一年に二回くらいは修行を頑張りましょう、というのがお彼岸だと思います。