神様の愛「イスラエル」

今週のお題「行きたい国・行った国」

 イスラエルを十日間ほど旅行しました。訪れたのは、十二月の中旬でした。イエス・キリストが生まれた国なので、当然クリスマスの雰囲気でいっぱいだと思いました。しかし、デパートも街の中も全くその雰囲気はありませんでした。
 よく考えたら、ユダヤ人にとって、イエス・キリストは救い主ではなかったのです。

 さすがにベツレヘムの聖誕教会だけは、イエスが誕生した時の絵や飾りが随所にありましたが、教会の周りはそうでもありませんでした。当時ベツレヘムはアラブ自治区でした。イスラムの人々にとってもイエス・キリストは救い主ではなく、一人の預言者に過ぎなかったのです。

 4千年前に、アブラハムが息子イサクを献祭したとされるモリヤ山があった場所には、現在イスラムの神殿である岩のドームが建っています。

 その下にユダヤ人の聖地である嘆きの壁があります。そこでは大勢のユダヤ人たちが、頭を前後に振りながら、経典を読んだり、祈祷をしていました。
 まさにここは三つの宗教の聖地であり、歴史が絡み合った場所でした。

 イスラエルという国は、国全体が博物館のようなものです。特にエルサレムは、街中の至る所に歴史の舞台となった場所があります。2、3千年前にタイムスリップしたような感覚になる場所も多くあります。

 ダビデ王がいたという塔を見ました。塔から街を見下ろしていて、妻となるバテシバを見そめたところです。ダビデと言えば3千年も前の人物です。そんな時代の塔がよく残っているものです。

 イエス・キリストが誕生した馬小屋のあった場所、ヨハネから洗礼を受けたヨルダン川の岸辺、山上の垂訓を語ったガリラヤ湖畔の小高い丘、最後の晩餐をした部屋、十字架を背負って歩いたヴィア・ドドローサ(苦難の道)、十字架に架けられたゴルゴダの丘・・・。イエス・キリストに因んだ場所だけでも数え切れないほどあります。

 ガリラヤ湖畔にあるカペナウムという町に行きました。湖畔のレストランで、ペテロが釣ったのと同じ魚が昼食に出ました。文字通りセイント・ピーターズ・フィッシュという名前でした。唐揚げで、骨まで全部食べましたが、とても美味い魚でした。

 マサダの砦に行きました。イスラエルがローマと戦って、千人が立て籠もり、最後に集団自決した所です。奴隷になるよりも死を選んだ、壮絶なユダヤ民族滅亡の悲劇の場所です。国を失った民の恨めしいうめき声が聞こえてくるようでした。

 目の前に死海がありました。本当に浮くか試しましたが、本当でした。
 イスラエルは全体的に荒野が多く緑が少なかったです。その中で、あちらこちらでブーゲンビリアの鮮やかな花が迎えてくれました。カペナウムは周囲の廃墟とは対照的に、特にこの花が多く印象的でした。

 エルサレムの旧市街は城壁で囲まれています。八つの門がありますが、その内の一つの門に菊花紋が刻まれていました。日本の皇室と同じ十六花弁でした。
 イスラエルの失われた十部族の話があります。アッシリアに滅ぼされた北イスラエルの子孫たちです。その一部は東へ東へ行き、更に海を越えて東に行った、といいます。
 もしかしたら、そこが日本かもしれないと思いました。