神様の愛「間一髪」


 私の仕事は元旦も営業しているスーパー関係なので、盆も正月もありません。
 バスで通っていますが、困ったことに年末年始は特別ダイヤで、朝バスがありませんでした。
 やむをえず、一時間近くかかりましたが、自転車で通勤しました。朝は明るくて良いのですが、帰りの時間になると真っ暗です。5時少し前はまだ明るいのですが、5時を過ぎると一気に暗くなります。
 街灯のない道も多く、自転車の灯りを頼りに帰りました。しかし前から車が来ると、ライトがまぶしくて、何も見えません。とても怖くなりました。それでも二日間は何もなく無事に帰りました。
 三日目のことでした。私は左側の白線の上を走っていました。帰りを急いで、かなりスピードを出していました。前から何台も車がやってきて、しばらく前が何も見えなくなりました。
 すると暗闇の中で、誰かが
「わっ」
 と叫びました。私もとっさに
「危なかった」
 と大声で言いました。幸いなことに、ぶつかりませんでしたが、間一髪でした。文字どおり、髪の毛一本ほどの距離だったと思います。
 しばらく安堵と恐怖の交錯した思いが消えませんでした。車のことばかり心配して、人とぶつかることは考えていませんでした。しかし暗くて心配だったので、神様に必死に祈りながら自転車をこいでいたのが良かったのだと思います。
 もし祈っていなかったら、どうなっていたかと思うと、胸をなで下ろしました。家に着くまで、ずっと神様に感謝しながら、自転車をこぎました。