神楽の街 鷲宮

今週のお題「好きな街」

 前の職場の隣の駅が鷲宮でした。駅を出ると大きな看板に「神楽の町」と書いてあります。出雲の神様を祀る神社としては、関東で最古の神社と言われている鷲宮神社があり、その神楽が関東神楽の源流といわれています。

 笛や太鼓に合わせて踊る12演目の神楽は、古事記の世界を表現していて、見ごたえがあります。

 しかし、60年ほど前に伝承者が白石国蔵さん一人になってしまい、神楽が消える危機を迎えました。あるとき国蔵さんの夢枕に神様が立って、
「あと3年お前に命を与えるから、神楽を伝えて死ねよ」
 とのお告げがあったそうです。それから国蔵さんは多くの人たちに必死に神楽を伝えました。すると、本当に3年たって国蔵さんはこの世を去ったといいます。

 鷲宮神社というと、アニメ「らき☆すた」の聖地にもなっています。アニメファンの若者が、どっと押し寄せることがあります。

 神社の前を流れている青毛堀川に沿って、河津桜が植えられています。毎年2月末から濃いピンク色の桜が鮮やかに咲きます。

 近くのコスモスロードは、秋になると色とりどりのコスモスが目を楽しませてくれます。

 鷲宮神社の西側に16世紀まで城がありました。代々鷲宮神社の神主が城主をしていたようです。今は何の跡形もありませんが、当時の道などが残っていて、歩きながら空想を膨らませるとロマンが湧いてきます。

 鷲宮神社には大国主命が祀られていますが、大国主命は「国造りの大業を成し遂げることができたのは、自分の中に宿る『幸魂(さきみたま)』の力のお陰であった」と言いました。この「幸魂」が、一説には「埼玉」の名前の由来になったと言われています。