「レ・ミゼラブル」③良心の力

今週のお題「もう一度見たいドラマ」
f:id:hiroukamix:20201216054210j:plain ジャン・バルジャンにとって養女のコゼットは生き甲斐であり、命よりも尊い存在だったと思います。二人が公園を散歩していた時に、コゼットが貴公子マリウス・ポンメルシーと会います。ジャン・バルジャンはコゼットの心が別の男性に惹かれていくのを寂しく感じます。
 今までジャン・バルジャンはコゼットを父親として心から愛してきました。最初は自分のせいで母親を死なせてしまった罪悪感やテナルディエ夫婦に虐待されてきたことに対する同情心からかも知れません。しかし、身寄りのないコゼットを実の娘のように愛情をかけてきました。
 そこに貴公子マリウスが登場します。今まで幼い頃から修道院で育ち、思春期を迎えたコゼットにとっては、自分に愛を表現してきたマリウスに惹かれても当然かも知れません。
 ここからジャン・バルジャンの新たな葛藤が始まります。今まで心の中を満たしてきたコゼットの愛情がマリウスに奪われていきます。その心の隙間を埋めるものはありません。絶対に許すことができません。すると、コゼットとマリウスの間を裂くしか道がありません。時に人は愛ゆえに、非情な選択を迫られる時があります。
 しかしジャン・バルジャンの心に変化が起きます。コゼットの心を奪い、殺したい程のマリウスだったにもかかわらず、暴動で命を落としそうになったマリウスを助けます。
 ジャン・バルジャンは間違った行動を取った時に、何度も不思議な導きに助けられました。その度に何か見えない大きな力を通して、気づきと悟りによって正しい選択をします。教会の銀の食器を盗んだ時、子供からお金を奪った時、自分と間違えられた犯人が捕まって濡れぎぬを着せようとした時、・・・。
 それはジャン・バルジャンの良心の力に違いありません。良心こそ絶望を希望に変え、否定を肯定に変え、悪を善に変える偉大な力だと思います。
 今私たちは、かつてない大きな壁にぶつかっています。今まで当たり前のように存在していたものが失われていく時に、人間不信や自信喪失、DVなどの誘惑に負け易くなります。そんな時こそ、良心の力が重要になります。毎日良心の声を聞く余裕を忘れずにいたいものです。

続く