⑤100年前の志(後編)

今週のお題「2020年上半期」
f:id:hiroukamix:20200722055947j:plain 本多静六博士は林学や公園づくりで100年後を見越して木を育ててきましたが、博士はそれ以上に100年後の人材を育てる事に生涯を捧げました。
 生前に多くの弟子達を育てたのは勿論の事です。公園を作りながら、同時に現場で教育をしました。明治神宮の森造りも弟子達との共同作業でした。
 更に博士は毎日1ページの原稿を書き続け、後輩達の為に生涯で370冊の本を残しています。博士は、ただの理論家ではありませんでした。実際自分で実践したことを本に書いているところが素晴らしいと思います。
 また経済においても注目されてきました。生涯に渡り、収入の四分の一を貯蓄して、それを投資などに回しながら数百憶円の莫大な財産を築きました。蓄財の神様というニックネームがあるくらいです。
 しかし本多静六博士は、退職を期に殆ど全ての財産を匿名で公共機関などに寄付してしまいました。志を持った苦学生の育英基金にする為でした。今でも続いています。
「子孫に美田を残さず」
「社会で得たものは社会に返す」
という信念からでした。
 渋沢栄一の知恵袋としても頼りにされた人でした。あまり名前は知られていませんが、隠れた義人だと思います。 
 博士の印象に残った言葉を並べてみます。
「施した恩はあてにするな。受けた恩は忘れるな。」
「仕事の面白さは、努力の質と量に正比例する。」
「人生の最大の幸福は職業の道楽化にある。」
「一度引き受けたことは、些細なことほど親切確実にする。」