家系の盛衰⑥志を引き継ぐ

お題「#おうち時間」 
f:id:hiroukamix:20200530070159j:plain 仕事を退職したある男性に会った。息子さんが突然大学をやめて、歌手になりたいという。せっかく苦労して入った大学なのに、中退するのは残念でしょうがないと悔やしがっていた。
 聞いていくと、お祖父さんが歌手を目指して田舎から東京に出て来たが、結局なれずに挫折したそうだ。死ぬまで夢を諦め切れずに悔やんでいたという。そんな話は息子に一言も話していないのに、何故息子までが歌手を目指すのか分からない、と嘆いていた。
 また、ある若者は政治家を目指していた。その動機を聞くと、世直しをして社会や人々の為に尽くしたいという。政治の話になると、何故か血が騒ぐと言っていた。
 その方の先祖には、幕末に尊皇攘夷の志士で、明治維新を待たずに亡くなっている方が居たことが後で分かった。きっと無念な思いがあったに違いない。
 志や理想は、成就したものは当然誰かに相続させたいし、もし自分が叶えられない時は、それを子孫を通してでも叶えたいもののようだ。まるでバトンを受け取るように、子孫の中から同じ志や理想を抱く人が出て来る。すると、まるでお祖父さんの生まれ変わりだ、などと言われてしまう。
 時には血の繋がりがなくても、例え国や民族が違っても、志や理想が引き継がれる事がある。イエスには子供がいなかったが、クリスチャン達はその理想を引き継いでいる。釈迦の教えを引き継いだ仏教徒も同じだ。
 私が歩いている道は、もしかしたら先人の誰かの志や理想などの思いを引き継いでいるのかもしれない。もしそうなら、人は消えて無くなるのではなく、過去の人も現在生きている人も皆思いや愛の世界で永遠に繋がっているのだと思う。

続く