お題「#おうち時間」
鷲宮神社で奉納される神楽を土師一流催馬楽神楽(はじいちりゅうさいばらかぐら)という。土師については七不思議③で説明した。催馬楽は平安時代に広く流行した歌謡だ。天皇に年貢を納めに行く馬子が歌った事に由来するとも言われる。催馬楽神楽は関東神楽の源流といわれ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
神様に捧げる為に、神楽殿が拝殿の正面に建っている。鷲宮神社の神楽は神に礼をして始まり、礼をして終わる。まさに礼儀正しい神楽だ。
上皇御夫妻が埼玉に来られた時に演じている。海外でも演じている誇るべき神楽だ。
年6回演じているが、私も何度か見に行った事がある。伝承会の会長さんにも会いに行き、2時間程神楽殿の中でお話をお伺いした。
代々世襲による伝承が続いていたが、60年ほど前についに伝承者が白石国蔵さん一人になってしまったという。このままでは、神楽が消えてしまう最大の危機を迎えた。白石さんは「笛の国蔵」と呼ばれ、自作の笛をいつも腰につけていた。寝食を忘れて神楽に没頭していた。
ある時に国蔵さんの夢枕に神様が立って、
「あと3年お前に命を与えるから、神楽を伝えて死ねよ。」
とのお告げがあった。それから国蔵さんは多くの人たちに一所懸命神楽を伝えた。すると、本当に3年経って国蔵さんはこの世を去ったそうだ。
現在催馬楽神楽は、保存会や地元の中学校の部活等を通して継承されている。