⑥ど根性百合と復活

今週のお題「カメラロールから1枚」
f:id:hiroukamix:20200508050045j:plain 道端で百合の花を見つけた。塀と道の間の僅か数ミリしかないアスファルトの隙間から茎が出ていた。いかにも窮屈そうだった。まさに「ど根性百合」だ。これはテッポウユリだと思う。いつもながら、植物のたくましさには驚かされる。一所懸命に一途に咲いている姿は、それだけで美しい。とても感動させられる。
 以前、庭でテッポウユリを育てたことがある。花が咲いた後に種ができた。ある日、種を包んでいたさやが開いて何百という薄くて小さな種が風で飛んで行った。庭を越えてそこら中に種が散った。翌年隣家の庭や道端などあちこちに百合の芽が出て来た。あの「ど根性ユリ」もそうやって数ミリの隙間に落ちて芽を出したんだと思った。
 テッポウユリは種でも球根でも増える生命力が強い花だ。ちなみに「百合」という漢字は球根が百枚前後の鱗片が合わさってできているのが語源だという。
 ところでキリスト教では、イースターリリーと言って、イースターの時にテッポウユリを教会に飾る風習がある。
 イースターはイエスの復活を祝う祭りだ。イエスが十字架につけられた後、ゲッセマネの園に白いユリが現れたという。イエスが最後に受けた痛みと苦しみは、汗となって、全て白いユリに落ちたという。それでキリスト教では復活祭に白いユリを祭壇の周りに飾ってきた。
 また百合の花は、花が枯れた後も、土の中の球根は勿論生きている。そして翌年になると再び新しい芽を出し、花を咲かせる。一度死んだように思えた花が、再び生き返るように見えることもイエスの「復活」を象徴するという。
 新型コロナウィルスによって生気を失ったような世界が、一日も早く復活して生気を取り戻して欲しいものだ。そんな願いを「百合」に込めたい。
 百合の花言葉は純潔、威厳、甘美。