「レ・ミゼラブル」③良心の力

今週のお題「激レア体験」
f:id:hiroukamix:20200429050228j:plain ジャン・バルジャンにとって養女のコゼットは生き甲斐であり、命よりも尊い存在だったと思う。二人が公園を散歩していた時に、コゼットがマリウス・ポンメルシーと会う。ジャン・バルジャンはコゼットの心が別の男性に惹かれていくのが寂しい。
 今までジャン・バルジャンはコゼットを父親として心から愛してきた。最初は自分のせいで母親を死なせてしまった罪悪感やテナルディエ夫婦に虐待されてきたことに対する同情心からかも知れない。しかし、身寄りのないコゼットを実の娘のように愛情をかけてきた。
 そこにマリウスが登場する。今まで幼い頃から修道院で育ち、思春期を迎えたコゼットにとっては、自分に愛を表現してきたマリウスに惹かれても当然かも知れない。
 ここからジャン・バルジャンの新たな葛藤が始まる。今まで心の中を満たしてきたコゼットの愛情がマリウスに奪われていく。その心の隙間を埋めるものはない。絶対に許すことができない。すると、コゼットとマリウスの間を裂くしか道がない。時に人は愛ゆえに、非情な選択を迫られる時がある。
 しかしジャン・バルジャンの心に変化が起きる。コゼットの心を奪い、殺したい程のマリウスだったにもかかわらず、暴動で命を落としそうになったマリウスを助ける。
 ジャン・バルジャンは間違った行動を取った時に、何度も不思議な導きに助けられた。その度に何か見えない大きな力を通して、気づきと悟りによって正しい選択をする。教会の銀の食器を盗んだ時、子供からお金を奪った時、自分と間違えられた犯人が捕まって濡れぎぬを着せようとした時、・・・。
 それはジャン・バルジャンの良心の力に違いない。良心こそ絶望を希望に変え、否定を肯定に変え、悪を善に変える偉大な力だと思う。
 今私たちは、かつてない大きな壁にぶつかっている。今まで当たり前のように存在していたものが失われていく時に、人間不信や自信喪失、DVなどの誘惑に負け易くなる。そんな時こそ、良心の力が重要になる。毎日良心の声を聞く余裕を忘れずにいたい。

続く

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