前の家は2階であったが、部屋から富士山が見えた。朝起きると、まず富士山が見えるかどうかを確認した。見えると幸せな気分になった。見えないと寂しい気持ちがした。
1年少し前に引っ越して3階になったが、残念ながら富士山は見えなくなった。目の前に4階建ての家があるからだ。その代わり、窓の直ぐ下に木があり、その天辺近くに鳥の巣が見えた。卵を生んだり、子育てをしている様子を上から眺めることができた。しかし、それも残念ながら枝の伐採によってなくなってしまった。
花の時期には梅や桜、キンモクセイなどを部屋に居ながら花見ができる。窓を開けると、キンモクセイの香りも漂ってくる。伐採されてまばらになった枝から、白いハナミズキが上を向いて、見てね、と言っているように咲いている(すぐ上の写真)。梅は1センチくらいの実をたくさん付けている(一番上の写真)。桜は花が散り、赤い萼と若葉が映えている。キンモクセイは常緑樹で今は葉っぱだけの装いだ。新しい小さな葉っぱと古い葉っぱが同居している。
公園が見えるが、コロナ対策で遊具は全て網で覆われている。それでも昼間は、休校で退屈な子供たちがボールなどで遊んでいる。この公園は雨が降ると水没する。去年の台風の後は一週間以上もプール状態だった。しびれを切らした子供たちは、その公園の中に入って水に浮かんだボールを投げ合ったり、びしょびしょになって走り回っていた。今も一昨日の雨で水没している。
窓の外には畑も見える。今は菜の花と玉ネギしか植えられていない。家のベランダには、ニラ、リーフレタス、菜の花、ミニトマト、唐辛子、シソなどがあるので、狭いが畑よりも稼働率は良い。
遠くに柿の木が見える。若葉が枝いっぱいに広がって、とても輝いている。植物たちは何の心配も不安もなく、いつもと全く変わりなく、営みを続けている。過分な欲心を持たず、気負わず、平常心を持って、感謝して生きなさい、という声が植物たちから聞こえたような気がした。
