いつものように淡い期待を持って、恐る恐るポストの中を覗いた。「あっ」と思わず叫んだ。何と生まれて初めて見る国際便が入っていた。白い封筒に"Air Mail"の文字があり、宛名も名前も全て英語だった。とうとう返事が帰って来たのだ。天にも昇る気持ちになった。
手紙は"Dear friends"から始まって、最後は"Janet Lynn"のサインで終わっていた。friendsで分かるように、沢山のファンレターが行ったに違いなかった。
手紙は要約すると、
「私は神から与えられた愛を広める為に努力している。全ての人は、神から素晴らしい才能を与えられている。時として、それは大変な努力を要する。それでも私たちが、全力を尽くして自分の才能を伸ばし、発揮することが神と人類の願いだ。」と書いてあった。
何と希望に溢れる言葉だろうか?あの太陽のような眩しい笑顔は、神の愛を人々に伝える表現だったのだ。単なる個人的な感情ではなかった。何か合点がいったような気がした。
更に、人間には例外なく一人一人に、かけがえのない才能が、天から与えられている。それを信じて、探して引き出し、努力して磨きさえすれば、誰でも発揮できるという。そもそもスケートは、ジャネット・リンにとっては優劣を競う競技ではなく、天から与えられた才能を表現する手段だったのだ。劣等感の塊のような当時の自分にとっては、とても勇気づけられ、希望的な言葉だった。
一人の笑顔が多くの人々に希望と勇気を与えた。とても素晴らしいことだと思う。
オリンピックの後、ジャネット・リンは「札幌の恋人」「銀盤の妖精」などと呼ばれて、日本中の人々から愛された。あの笑顔に魅了されたのは、私だけではなかったのだ。
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