最高に嬉しかった卒業

今週のお題「卒業」
f:id:hiroukamix:20200306223617j:plain 卒業式は親しい友達との別れが伴うので、好きではなかった。しかし、一つだけ、嬉しい卒業があった。自動車教習所の卒業だ。今から、35年位前のことになる。
 私は自分が車を運転するのは、絶対不可能だと思っていた。後ろから見ていると、右手でハンドルを握り、左手でギヤを操作し、右足でアクセルを踏み、左足でブレーキを踏む。左右のサイドミラーを見たり、バックミラーを見る。
 こんな複雑なことは自分には絶対無理だ、と思っていた。標識もちらちらと見ながら、同乗の人達と話もしている。私には、車を運転する人が皆スーパーマンに見えた。
 教習所の門をくぐった時は、清水の舞台から飛び降りるような覚悟だった。実際に運転してみると、やはり難しかった。何度も路肩に乗り上げたり、操作ミスをした。
 最後に路上検定があったが、一度目はあっけなく失敗に終わった。試験は、助手席に乗っている教官がブレーキを踏んだらお仕舞いだ。
 私は教習所から公道に出る所で、左右を良く見ずに前進しようとして、あっという間に隣の教官にブレーキを踏まれてしまった。公道に出て、僅か10センチ位だろうか。痛恨のミスで、がっかりして力が抜けてしまった。やっぱり駄目かと、自信喪失と自己嫌悪で一杯になった。
 気を取り直して、二度目の試験でようやくパスした。だから、教習所を卒業できた時は天にも昇る気持ちだった。

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