ジョン・ニュートンは奴隷商人をしていた。アフリカで奴隷を仕入れ、ヨーロッパで売り飛ばしていた。
ある日、航海中に嵐に会い、荒れ狂う海で船が転覆しそうになった。ジョンは恐怖の中で思わず「神様、助けて下さい。」と叫んだ。
すると雨と風が静まり、嵐は去っていった。ここで心を入れ替えて、奴隷商人をやめていたら劇的だった。しかし、ジョンはそのまま奴隷商人を続けた。心にやましさを感じつつも、金儲けの為に背に腹は代えられなかった。
その後、彼は体調を崩してようやく奴隷船を降りた。黒人を牛馬のごとく扱って死に至らしめ、また過酷な労役を課して人生を台無しにしたことの悔恨の念が後まで残っていた。
今までの罪滅ぼしに、彼は牧師になる道を選んだ。苦しんでいる人や悲しんでいる人の側に立ち、命を生かし、役に立ちたいと思った。
また、しいたげられてきた黒人たちに古くから伝わっていた黒人霊歌に作詞することを思いついた。そして、1765年「Amazing Grace(アメイジング グレイス)」が生まれた。