大切な人①違うことは良いことだ
今週のお題「大切な人へ」
妻は十二人兄姉の末っ子だ。十二人と聞いて最初ビックリした。中々お目にかかれるものではない。
妻と私は、全てが極と極だ。妻は北海道の海辺近くで生まれ育った。私は海のない山梨県で生まれた。
私は山登りが大好きなので、「山に登ろう。」と誘う。すると妻は「どうせまた下りて来るのに、何故登るの?疲れるだけじゃない。」と言う。妻は狭くて窮屈なところは好きでない。海や広々とした所が好きなのだ。
レストランで妻が紅茶を頼むと、私はコーヒーを注文する。妻が蕎麦を注文すると、私はうどんを注文する。カレーに妻が醤油をかけると、私はソースをかける。靴下を私は横にして畳むが、妻は縦にして畳む。
何から何まで正反対だ。だから当然ぶつかることもある。しかし、それは大きな問題ではない。違う故に、良いこともある。
北海道の海で、妻のお兄さんと釣りをした。釣りの快感を覚えて、それから私は釣りが大好きになった。神奈川に住んでいる頃は、毎日のように海釣りに出かけた。三度のご飯よりも釣りが好きになった。
ある時、答えを探して、数ヶ月悩んだことがある。行きづまって、妻に相談した。すると、妻は言った。
「こうじゃないの?」
一瞬で答えが見つかった。私の発想では思いつかない答えだ。その時、違うことは良いことだと思った。
続く