新時代⑦分けるから結ぶへの変化

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 七番目は「切って分ける」から「結んで一つになる」変化について触れてみたい。今までの歴史は、色々なものを一所懸命に切ったり分けてきた。
 科学の科は禾編に一斗・二斗の斗と書く。米を計って分けるという意味がある。科学は物を分けて、分けてどんどん小さくし、分子・原子・素粒子として研究していく。
 医学を見ても、昔の医者はどんな病気も全部一人の医者が診た。人間を心と体が一つとなった全体として見てきた。しかし解剖学が進み、死んだ人間を研究し始めてから、心と体が分かれ、更に体も内科、外科、歯科、眼科、耳鼻科、小児科、等細かく分かれてきた。とても一人で全ての分野を診るのは現実的に大変なので、当然の成り行きだと思う。ところが、専門的に細分化すると、見えなくなるものもある。
 例えば、肥満になったり、胃腸が痛んだり、糖尿病になったり、骨粗鬆症になって、歯医者に行く人が何人いるだろうか?
 関係ないと思われるが、歯でしっかり噛むことは次のような効果がある。頭の骨を強くする、肥満防止、味覚発達、言葉の発音、脳の発達、歯の病を防止、癌の防止、胃腸を守る、全力投入(歯を食いしばる)、糖尿病の予防などたくさんある。体の細胞や機能は全て繋がっている。肥満や脳の発達、糖尿病などの原因が全て歯ではないが、多少の影響はある。しかし部分しか見ないと、見逃してしまう。
 分けて来たことにより様々な問題が出ている。
 家庭は三世代から二世代、更に一人暮らしが多くなった。隣近所の付き合いも希薄になっている。社会全般に個人主義的な傾向が強い。その中で、多くの人が孤独を感じている。
 地球は一つの生命体だと言われる。地球上の全ての存在は運命共同体であり、皆繋がっている。
 漁師が山に木を植える、という活動がある。山に木が多いと落ちた葉や実の栄養が雨で川に流れ、海に栄養豊富な水が流れ込む。そしてプランクトンが増える。その結果、それを食べる魚も増える。
 歴史の流れの中で、心と体の関係が切れ、人と人との関係が切れ、人と自然との関係が切れてしまった。その弊害が様々な所に出ている。病気、戦争、自然破壊・・・。
 今まで分けてバラバラになった心と体、夫婦、親子、兄弟、嫁と姑、国と国、人間と自然などの絆を再び結んで一つになる時代を迎えた。
 元々日本人は結ぶことが好きだった。米と米を結ぶと「お結び」。親に男の子が結ばれたら「結ぶ子」即ち「息子」。女の子が結ばれたら「結ぶ女(め)」即ち「娘」。相撲では、最後の取り組みを結びの一番という。結びには最後という意味と、最も重要という意味も込められている。
 東日本大震災の頃から、絆という言葉が良く使われるようになった。人は繋がることを心の底で求めているからだ。
 今年行われる東京オリンピックに、一つ提案がある。自分の好きな国を一つ決めて、応援することだ。どこの国でも良い。一つ選んで、今から関心を持って、その国について調べよう。地球のどこにあるのか、どんな顔をした人達が住んでいるのか、国旗は、国歌は、大統領は、言葉は、「こんにちは」は何て言うか、人口は、観光は、国民食は、・・・。何でも好きなことを調べよう。そして、オリンピックで応援しよう。その国との絆ができ、心が結ばれていくに違いない。世界を身近に感じると思う。
 また人間には家族や親族、社会という横の繋がりと共に、先祖代々からの縦の繋がりもある。先祖の生き様や、願い、理想、志しを知ることにより、過去と現在が結ばれていく。そして、未来の後孫に繋がっていく。
 切って分かれてきたものが、繋がり、結ばれ、一つになっていく時を迎えた。