旅行ではなく、住んでみたいハワイ

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 がんらい寒がり屋の私にとって、常夏のハワイという島は、まさにパラダイスだ。照りつける太陽も吹きつける熱風も、とても心地良かった。
 ハンモックに揺られながら、遠くの海をボーッと見ている時間は何と贅沢だろう。そのまま時が止まってくれたら、どんなに幸せか分からない。 
 時々空に現れる虹は何とも言えない感動を与えてくれる。海を真っ赤に染めながら沈んで行く太陽の演出も見事だ。そんなハワイが私は大好きだ。
 ハワイ島の空港近くは、黒い溶岩が露出している。ハワイはまさに火山の噴火によって流れた溶岩の島だ。だから溶岩が砕けて砂となってできた黒い砂浜が随所にある。ウミガメで有名なブラックサンドビーチというのもある。かと思えば、サンゴ礁が砕けてできた白っぽい砂浜もある。貴石が砕けてできた緑色の砂浜もある。
 黒いキャンバスの上に、色とりどりの鉱物や植物が素敵な絵を描いてできた島がハワイだ。どこに行っても心から癒される。
 しかし、私がハワイに行って何よりも感動したことがある。ホテルの外に素敵な庭があり、青空の下のテーブルで、朝食をしていた時のことだった。
 白い皿の上にパンやサラダが乗っていた。すると、突然どこからともなく、一羽の小鳥が私が食べているテーブルの上に舞い降りて来たのだ。メリー・ポピンズが傘を広げて、空からやって来たみたいな気分だった。一瞬の出来事で、何が起こったのだろうかと思った。
 小鳥の種類は分からなかったが、とても綺麗な可愛い鳥だった。そして、何と私が食べかけていたパンを突き始めたのだ。 小鳥は私のことなど全く気にせず、恐れることもなく、逃げる気配もない。私はそのまま鳥が為すがままに任せて、ただじっと見ていた。
 まるで木の上で木の実を突いているように、小鳥は私の目の前で無心に皿の上のパンを食べていた。とても不思議な感覚だった。
 野生の鳥がこのように警戒心を持たずに人間に近寄るとは、全く驚きだった。家のそばで色々な鳥を見るが、人が近づくと皆パーッと飛び立ってしまう。しかし、この舞い降りて来た小鳥は全くものおじしない。愛おしく、とても親近感を感じた。ずーっと私が飼っていて懐いているペットのようだった。
 パンを食べて、十分満足をしたのか、小鳥は一目私のほうを向いて、感謝の会釈をしたように見えた。そして、目の前のテーブルから空へ飛び立って行った。突然の可愛い訪問客を迎えて、夢を見ているような、とても幸せな気分になった。
 ハワイで感動したのは、それだけではなかった。私は泳ぎが上手くない。しかし、せっかくハワイまで来て海で泳がない訳にはいかない。オアフ島のワイキキビーチで仲間と泳いでいた。ふと海の中を見ると、何と魚が横で一緒に泳いでいるではないか。とても驚いた。人間を怖がって逃げて行かないのだ。
 私が知っている魚は、人が近づくと、一瞬で逃げて行く。子供と近所の小川にメダカをよく取りに行った。気配をなくして、そーっと近づいたのに、影が水面に映った瞬間に全てのメダカが一目散に逃げて行った。まるで怪獣が襲って来たような慌ただしさだ。魚というのは皆そのようなものだと思っていた。それなのに、人間を恐れることなく、一緒に泳いでくれるハワイの魚には親しみと癒しを感じた。
 ホテルのプールにイルカがいて、人間と一緒に泳いでいたが、イルカは別格だ。以前テレビで見た動物学者のことを思い出した。「純粋な愛情で接すれば、野生動物も人間を怖がらない。」と言って、野生のライオンの口の中に手を入れていた。
 ハワイは長い歴史の中で、人間と動物たちが深い愛情で結ばれてきたところではないかと思った。人間が動物に対して、畏怖や慈愛の心を持って信頼関係を築いてきたに違いないと思う。ハワイにいると、本来人間と自然は一つの家族なのだ、とつくづく感じる。動物を檻の中に入れたり、動物を恐れたり、動物が人間に噛みついたりすることは当たり前ではないのだと思った。
 天国はこのように、鳥も魚も動物も虫も植物も、皆家族のように仲良く一緒に暮らしているところではないかと思う。
 ハワイの楽しみは自然だけではない。街の中も楽しさ一杯だ。お土産品だけではなく、興味をそそる物が沢山ある。その一つが画廊だ。ハワイらしい明るい絵が並んでいる。見ているだけで嬉しくなる。歴史や文化を楽しく学べるスポットもある。食べ物も美味しい。南の島にやって来た、というグルメの食材があちこちのレストランで食べられる。そんなハワイに住んでみたいものだ。

書籍化記念! SUUMOタウン特別お題キャンペーン #住みたい街、住みたかった街

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by リクルート住まいカンパニー