ヘレン・ケラーを怒らせた「別に病」

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「別に病」という病気がある。
「休みに何をするの?」
 と聞くと、
「別に。」
 と返事が返ってくる。
「何か食べたい物ある?」
 と聞いても、
「別に。」
 と返事が返ってくる。
 何を聞いても、
「別に。」
 と答えるので「別に病」という。
 ある日、ヘレン・ケラーの友だちが森を散歩して、ヘレンのところに来た。ヘレンは尋ねた。
「何か、面白いことなかった?」
 友だちは答えた。
「別に」
 だった。すると、ヘレンは激怒して言った。
「別に、とは何よ!私の目が見えたら、草花や蝶々を見て、その美しさにうっとりとして感動したでしょう。私の耳が聞こえたら、小鳥のさえずりを聞いて、一緒に歌を歌ったに違いないわ。あなたは目も耳も口も使えるのに、森を散歩して何も感じなかったの?」
 と友だちの髪をかきむしりながら怒った、という。
 私たちは、身の回りにある草花や木々、鳥や昆虫、山や川、空や海などを、どれほど意識して見たり、聞いたり、香りをかいだり、触ったりして関心を寄せているだろうか?
 目が見えることや、耳が聞こえることが当たり前と思っていることが多いのではないだろうか?
「別に病」になって、ヘレン・ケラーにしかられないように、私たちの五感をもっと大切に使おう。それは同時に、小さな生命や身の回りにある平凡な物を愛することにつながると思う。